- 第十三話「おれの息子は火星人」-

以前、あんまのミラーマンとヤンキーというコンビを『Who Rules』編で紹介してたのですが このコンビを初めて見た時の私は怒り心頭で

「あんなヨゴレと二度と一緒に演りたくないし演らない」と周りに伝えました。その当時の私は本当に本チャンのレゲエを追求し、いつかこ

の大阪でDanceHallStyleを広めたい一心でいろんな努力をしていてとんがってた時期でしたから「あれはレゲエのオケにしょうもないこ

とをのせてるヨゴレというレッテルを貼ってDeeJayやないから」と決めつけてました。狩集画伯も以前患ってた「包茎」のネタやしょうもな

いネタが満載でした。それに続けとあちこちから自称DeeJayがそれをマネて俄にそこらへんのBarなどで出没し、挙句の果てには我々

のイベントなどにも現れて「マイクを貸せ、演らせろ」とまあ私も一方的にダメとは言わず試しにと思いマイクを渡したところで舞台慣れも

してないからウダウダと尻切れトンボのリリックス?を演ると「もうエエワ」とマイクを返してくるのです。そんななかでやっぱり練習をやっ

てる人やネタを考えて韻を踏んでやってる人たちはそれなりに私も任せられたので次のイベントなんかに誘ったりできました。でも、イベ

ントで使ってもらえるアーティストとなると数がしれてるのでどうしてもミラーマンとヤンキーとが大阪では一緒になるのです。でも何回も

聴いてるうちに人間慣れてしまい、おもしろくなってきてしまいました。特に狩集画伯にはリアル感があってのことか良くうけてましたな。

そこで私はヤンキーにカバーでエエからちゃんと英語で歌ってくれ、そしてミラーマンにはメッセージをいれたリリックスを考えろと訓ロク

をいれました。狭い大阪でいがみ合っても仕方がないしとにかく演者が数知れていたというのがひとつ、そして彼らには北を中心としたフ

ァンをもってたからでした。プロモーターからしたら集客が一番やからね。そんなこんなで接点ができてある日ヤンキーが彼の地元に招

待してくれて京都の山崎あたりへ連れて行ってくれました。そこで川で泳いだり山の新鮮な空気を満喫してお互いに打ち解け私もレゲエ

への想いを伝え「これからはDanceHallや!おまえらもJamaicaへ行って勉強してこい!」と熱心に説きました。よくよく考えてみるとミラ

ーマンはとにかくYellowmanを意識して演っていたみたいでやはり彼もその当時のJamaicaを彼なりに取り入れていたんでしょうね。

そいうたら顔も事故する前のYellowmanに似てたかも。私がいつも「あんま」と呼ぶのは彼が丸ふちの黒いサングラスをかけてたのでそ

う呼んでました。また、彼は重度の「どもり」で 彼が発言する際、「こ・こ・こ・こ」 とどもってる間に私が先に「これからも」かと

わかるほどでした。そうしてやっと言葉が出た時は勢いで唾が顔にかかるので先にこちらからいっておかないと大変なことになるからです。

でもマイクを持つとどもりが消えてすんなりと「皮かむり」が歌えるのです。なんと不思議な話です。相方のヤンキーも今でいうイケメンで

したが私がジャメイカ在住の間に病魔におかされジャメイカに一度も行かずあの世に逝ってしまいました。もう一度会いたかったのです

が今となっては叶いません。  

合掌      

「皮かむり〜皮かむり〜俺の息子は火星人」